まなざし

宮前幼稚園・宮前おひさまこども園では、子どもとかかわる日々保育者が、子どもとの関わりの中で心動いた瞬間を大切にしています。

それを支えるのが、保育記録。
新人の先生たちは週1回、その週の中で印象的だった場面を取り上げて保育記録に綴り、全職員でSlackというアプリ上で共有しています。
そして、週替りで園長・副園長・主任等がコメントをしています。

新人の先生たちの子どもへのまなざし、そして学年主任の新人の先生へのまなざしがとても素敵です。
※長文ですので、お時間のある時にお読みください。子どものイニシャルは名前とは関係ありません。
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〈新人の保育記録〉

給食前の時間、Sがテラスにずっと座り込んでいた。
給食の準備が終わるまで、部屋の中から見守り、部屋が落ち着いてきてからSの所へ行った。
Sに「何してるの?給食の準備終わったから部屋に戻ろう」と言葉掛けをした。Sは「景色が綺麗だから」と言った。Sの言葉につられ私も一緒に園庭の方を見ると、色づき始めている木の葉や、お花など、とても綺麗だった。

私もSが見ているものと同じものが見たくなり、目線を合わせて低い視線で見ると、また変わった景色が広がりとても新鮮な気持ちで景色を眺めることが出来た。
この日は、雨も降っていたため、「雨の音も聞こえるね」とSに言った。「うん、ぽたぽた言ってる」とSが言った。

時間的に他の子どもたちは給食を食べている時間だったため、テラスでは私とSの2人だけでとても静かな空間でゆっくりと落ち着いた時間を過ごすことが出来た。少しの間2人で雨の音を聴きながら、雨の降る園庭を眺めていた。

幼稚園には、他の子どもや先生など、誰かと話をしたり、一緒に遊んだり、人の声や音などが溢れている。そんな中、少し静かな場所で自然の音に耳を傾けることは心を落ち着けたり、ゆったりした時間を過ごしたり、大切な経験だと思った。Sが自分で、綺麗な景色を見つけ、その景色をゆったりと眺め、落ち着いた時間を過ごしていたことが素敵だと思った。私も一緒に静かな時間を過ごすことができ、リラックスした空間をSと共有できたと感じた。


〈学年主任のコメント〉

Sの見ている世界を一緒に見てみようとする姿勢、そしてSが感じている思いをまるっと受容してあげられる M先生のあたたかな眼差しと関わりがとても素敵だなと感じました。

いただきます前後の時間は、ゆっくりと関わってあげることがなかなか難しいタイミングでもあると思います。そんな中、Sにとっての「今この時にしか感じることのできない気持ち・見られない景色」に気付いて、その時を共有し寄り添う M先生の関わりに、自分自身を振り返ってハッとしました。

別の日にわたしが関わりに行ったあの時も、Sはもしかしたら好きな外の世界をゆったり眺めていたのかもしれません。
「先生に手伝ってほしいんだもん」言い廊下にいることも多いS。いつものこと、というように「さっ、一緒に準備しよう!」とすぐにSの手を引きお部屋に入ってしまいました…反省です。
一方で、今後S自身で気持ちを切り替え、望ましいタイミングで一緒に準備ができるようになっていってほしいという思いもあります。
でも、M先生のように目線を合わせ、その時々の気持ちに丁寧に寄り添うことがどんなタイミングであったとしても何よりも大切なことだなと改めて気がつくことができました。
M先生のいいところが表れているなと感じます。
わたしも一緒に、2人が見ていた景色を見てみたかったです

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新人の先生への子どもへのまなざし
そして、学年主任の新人の先生へのまなざし
どちらも本当にあたたかく、素敵です。
まなざしがまなざしを育てていくのだと思います。